子どもたちの防災意識を高めようと、各小学校で独自の取り組みが進められている。和歌山市東高松の高松小学校は毎年、新1年生全員に防災頭巾を配布。同市湊の湊小学校は、全児童がイスの下にヘルメットを常備している。
高松小 卒業生贈る頭巾
高松小学校が配る防災頭巾は、前年度の卒業生が手作りしたもので、普段は教室のイスの背もたれに常備する。十河(そごう)秀彰校長は「下級生は日々、上級生の思いを感じながら一緒に学んでいます。命を守るものを身近に携え、防災意識を高めてほしい」と望む。
3学期になると6年生が家庭科の授業で製作する。綿入りの布を手で縫い合わせ、星やハート型に切り抜いたフェルトで、個性豊かに。背もたれに掛けている時に色鉛筆やのりなど文房具を入れられるよう、ポケットを付けている。
2015年度に始まり、16年度から配布。3年のマッカボイ真里亜さんは「先輩が作ってくれた頭巾は柔らかく、背もたれに付けていると背中が痛くならない」。太田智恵さんは「大阪の地震をテレビで見て、いざという時に使えると実感した。自分が作るときはニコちゃんマークを付けたい」とほほ笑んでいる。
写真=高松小卒業生手作りの頭巾は各児童が持っている
湊小 命守るヘルメット
湊小学校は全児童のイスの下にヘルメットを備える。避難訓練や交通安全教室などに活用し、戸川定昭校長は「普段から使うことで、だれかを助ける前にまず自分の身を守る意識を根付かせる。いざという時、ヘルメットがあれば、子どもたちの不安が和らぎ、落ち着いて行動できるようになる」と強調する。
紀の川河口から約500㍍と海に近い同小。地震の際は津波に備え校舎の3階に避難するが、東日本大震災や熊本地震を受け、身近にできることから取り組んでいけるよう昨年、児童と教職員分約140個のヘルメットを購入した。ゴム製網で座面の裏に固定。防災主任の木下由香利教諭は「教室の1ヵ所に保管すると配るのに時間がかかる。まず机の下に隠れ、しゃがんだ時に目の前にあればすぐ使えると考えました」と説明する。
6年の木皮安莉くんは「ヘルメットを出しやすいよう、ゴムの位置を調整しています」。伊藤快くん、岡碧泉(あおい)さんは「大阪の地震で改めて地震の怖さを感じました。ヘルメットがあれば安心」と笑顔を見せている。
写真=全児童のイスの下に常備している
(ニュース和歌山/2018年7月21日更新)