自動車教習所で技能評価

 病気や事故で後遺症を患った人の運転再開を支援するため、海南市且来の自動車教習所、ドライビング・スクールかいなんで8月30日、指導員と作業療法士が同乗して運転能力を見る試みが行われた。5月に脳卒中を発症し、軽い言語障害が残る和歌山市の48歳男性が、コースでの運転と適性検査を受けた。

 脳卒中経験者は原則、交通センターに相談後、主治医の診断書を提出し、同センターで受ける適性検査に通れば運転を再開できる。今回、男性が通う琴の浦リハビリテーションセンターが診断をより確実にし、本人の不安を取り除こうと、教習所へ初めて協力を依頼した。

 車庫入れやバック、S字走行などを試し、標識を確認しながら約30分走った後、コンピュータで反応の速さや正確さを測った。男性は「3ヵ月のブランクがあり、不安だった。実際に車のハンドルを握って操作でき、自信につながった」。同乗した作業療法士の鍵野将平さんは「他の練習車が走る中での緊張やストレスへの耐性も分かった。病院で机上の評価だけでは分からないことが見られた」と話していた。

 今回の診断結果を参考に主治医が書いた診断書が9月8日、交通センターへ提出された。同教習所の中西潤治さんは「元患者の場合、手足の機能を含め、正確な操作でいかに安全に走れるかが評価基準。教習所に助言を求める制度はないが、今後も依頼があれば協力したい」と語っていた。 

写真=指導員と作業療法士が同乗してコースを走った

(ニュース和歌山/2018年9月15日更新)