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 和歌山電鉄貴志川線存続に取り組む貴志川線の未来を〝つくる〟会結成10周年を記念するシンポジウムが2月22日、紀の川市で開かれた。子や孫の世代まで同線を残すための課題を話し合った。

 同会は2004年9月に結成された。南海電鉄の同線撤退を受け、沿線住民の思いを束ね、存続に大きな役割を果たした。シンポジウムは10年の節目に同線を未来に残す決意を新たにしようと行われた。

 最初に、和歌山電鉄社長の小嶋光信・両備グループ代表が「貴志川線を孫の代まで残す経営戦略」と題し講演。事業継続が成功した理由として「住民の熱い支援があり、行政の協力があった。そして南海電鉄との連携がうまくいった」と振り返った。引き継ぐ前は毎年、乗客2%が減り、10年で20%の減少を見込んでいたが、住民の努力とたま駅長効果で8年間で17%増えたことを明かした。それでも線路補修などに多くがさかれている現状を語りつつ、「貴志川線は、地域の公共交通を守る全国モデルとなった。住民のみなさんは誇りをもってほしい」と伝えた。

 続くディスカッションでは、小嶋代表、〝つくる〟会の濵口晃夫代表、山東まちづくり会の吉田泰士事務局長が語り合った(写真)。濵口代表は「会の世代交代は課題のひとつ。大学生や若い人に入ってもらってもなかなか根付かない」と悩みを語り、「会員は現在2200人、今後若い人にも声をかけ、3000人を目指したい」と意気込んだ。吉田事務局長は「子どもたちが自慢できる山東にしたいと思って活動を進めている」と話し、「駅の魅力アップが必要なのでは」。小嶋代表は、「少子高齢化時代を迎え、孫や子の世代の住み替え需要をどうつくるか。地域づくりに成功するか、どうかに未来が大きくかかる」と指摘した。

(ニュース和歌山2015年2月28日号掲載)