国内外の昔話を子どもたちに語り届ける「和歌山おはなしの会 語りの森」が発足30年を迎えた。絵本作家の筒井頼子さんを招いた記念講演を12月9日(日)午後2時、和歌山市北出島のプラザホープで開催。30年前から活動する上甲ひとみ事務局長は「声で子どもたちを包み、愛し続けたい」と力を込める。
語りの森 30周年記念講演
ろうそくを灯し、〝お話の世界〟は始まる。「昔、あるところに…」。台本を持たず、語り手が頭に入れた昔話を子どもたちの目を見ながらゆっくり話し伝える。薄暗い静かな部屋に声だけが響き、子どもたちは物語の世界に引き込まれていく。
1988年発足で、図書館や保育園、小学校などを訪問している。5、6人でスタートし、約20年前から開く養成講座で会員は58人に。わらべうたと絵本の読み聞かせも行い、イベントや介護福祉施設にも出向くなど活動の幅を広げてきた。メンバーの栄田由江さんは「語っているうちに子どもたちが徐々に気を許してくれるのが幸せ」、北出美恵子さんは「目を輝かせて聞いてくれ、元気をもらえる」とほほ笑む。
毎週行う勉強会では、聞き手の反応や新しく覚えた昔話を発表し合っている。節目を迎え、来年1月からは絵本に特化した勉強会を開く。上甲さんは「物語には喜びや悲しみ、昔の知恵が詰まっていて、子どもたちの生きる糧になる。これからも目の前の子どもに一つずつ生きる力を伝えていければ」と話している。
9日は絵本『はじめてのおつかい』『いもうとのにゅういん』などの作者、筒井さんが「絵本と私」と題し話す。500円、大学生以下無料。未就学児不可。先着100人。希望者は同会(073・422・7432)。
写真=語りとろうそくの光で物語の世界へ誘う
(ニュース和歌山/2018年11月10日更新)