昭和から平成にかけて、漆の製造や保管に使われた海南市船尾の旧田島うるし工場に残る物に焦点を当てた展覧会「TAJIMA EXPO」が11月21日(水)〜12月2日(日)に開かれる。工場跡をアートスタジオとして使う30代の芸術家5人が企画。メンバーの中田耕平さんは「映画のセットのようにその時代をイメージできる道具や日用品ばかり。この場を知ってもらう機会になれば」と話している。

うるし工場跡で展覧会

 約1500平方㍍の敷地に作業場や倉庫、事務所、住居を併設し、最盛期には住み込みも含め約40人が働いた。2002年の閉鎖後は長らく眠っていたが、次第にイベントスペースとして使われるように。昨年からは中田さんらが借り、1年かけて修繕して作品製作や展示の場とし、12月にはカフェを開く。

 工場内には昭和初期の帳簿の束、事務作業に使ったイタリア製タイプライター、手作業で漆をかき混ぜた棒と、会社にちなんだ物や、レコード、和傘など生活感のあるものも多い。今回はレンガ造りの倉庫に建物の古材を活用した展示スペースを設け並べる。

 中田さんは「高価な物、資料館に行けばあるような物より、人々の仕事ぶりや暮らしが分かる物にひかれます。自分たちはUターンしてきた者なので、黒江や船尾の歴史にふれる企画を数回開き、町を知っていきたい」と描いている。

 午前10時〜午後5時。月曜休み。11月24日(土)、25日(日)、12月1日(土)は陶芸ワークショップも。詳細は旧田島うるし工場フェイスブック。

写真=古い帳簿を手に取る中田さん

(ニュース和歌山/2018年11月14日更新)