昔、日暮れにこの滝のあたりを通ると、ちょうちんの火が消えたり、妖しく光る坊主に出会ったりした。恐れた村人たちが寺に相談すると、住職は「この滝で死んだ者の祟りだ。阿弥陀仏に百万遍の念仏を捧げよ」と答えた。さっそく村人全員で滝に出向き、淵の周りでお経を唱えた。すると、それ以来、奇怪なことは起きなくなったという。

 『紀伊続風土記』に「水鳴り山響く瀧あり阿彌陀瀧といふ 瀧壺四面大巖壁立し懸泉一丈餘見事なり」と登場する。故事についても記述があり、「阿彌陀瀧の名此より起るといふ」とある。

 別名、玉川四十八石にいう編滝。滝は三段、さらに左の谷にも二丈の滝がかかる。広い滝壺は、驚くほどの碧。引き込まれそうな深淵だ。

(経路…国道371号から西光寺方面へ。倒木多く歩行困難)

(ニュース和歌山/2018年12月1日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。