高野山の西から南斜面は、強い地殻変動を受ける地層、大崩壊帯だ。高野からまっすぐ南に伸びる一ノ枝川は、地表にできた地球の傷跡。滝は、割れ目に沿ってできる。
『紀伊続風土記』に、「相ノ浦と名つく相は間なり。浦は廣みをいう義なり。海邊の浦も廣みの義なり。古語は山海の隔なく用い来れり」とある。
滝壺に降り立つと、美しい枯れ葉の渦に出合った。微速度で回転する渦から、腕のような筋が伸びる。我々が住む銀河も、このスパイラルアームと呼ばれる腕の中に位置するという。宇宙に浮かぶ星屑の腕がどうできたのか分からないが、相ノ浦が「山海の隔てなく用いられた言葉」と記した紀州藩の賢人の遺訓に従えば、まさしくこの滝は宇宙の浦なのだろうか。
(経路…国道480号、堺橋から河原へ降りる)
(ニュース和歌山/2018年12月8日更新)
大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。