大切な人を連れて行きたくなる店に──。そんな思いを込めて、地元農家から届けられる新鮮な野菜をふんだんに使った料理を提供するのが「カフェ LIFE」(紀の川市下井阪)だ。店主の阪田瑞穂さん(46)のこだわりは「できるだけ手を加えずに、野菜のおいしさを伝える」こと。皿からあふれそうな野菜料理の数々に、訪れた人の笑みがこぼれる。
地元野菜10種以上
──ビストロランチは色とりどりの野菜を1枚の皿に盛りつけています。
「お客さまに出来上がった料理を見てハッと驚いてほしいので、お皿には、焼きロールキャベツ、カブのマスタードパン粉焼き、豆の香味野菜マリネなど、常時10種類以上の野菜料理を乗せます。使うのは紀の川市の農家さんが届けてくれる野菜で、どれも新鮮で色がきれい。全部平らげてもらったお皿を見るのが最高のご褒美です」
──それぞれの野菜の味が濃いですね。
「大事に育てられた野菜なので、できるだけそのままの味を伝えたいと思っています。意外にも大根やゴボウなどの根菜類はクミンやカイエン、コリアンダーなどの異国のスパイスがよく合います。特にクミンは加熱すると野菜の甘さが引き立ちます」
──このほか人気は。
「パイ生地に卵やチーズ、生クリームを入れて焼き上げた野菜のキッシュです。今の季節は旬のほうれん草ときのこを入れます。野菜が嫌いなお子さんでも、うちの料理を食べて、好きになったと聞いたときはうれしかったですね。少し辛口のスパイスチキンカレーも人気です。玉ネギとトマトをベースに、4種類のスパイスを入れます。野菜の甘みとスパイスのバランスが良いと、ご好評頂いています」
──店内の黒板でレシピを公開していますね。
「お客さまから多くの問い合わせを受けました。家庭でも野菜をおいしく食べてもらえるように、フレンチドレッシングと豆乳マヨネーズ、ピクルス液のレシピと作り方のポイントを書いています」
第3の居場所
──店を始めたのは。
「岩出市出身で、大学進学を機に大阪へ出て、27歳の時に地元に戻りました。そこから10年以上、紀美野町のパン店ドーシェルで経験を積みました。手作りにこだわり、地元の食材を使って、地域経済を支え合う姿を学びました。主人も2年間、修業させてもらい、夫婦で2012年に独立しました。スイーツで人気のフレンチトーストはドーシェルのバケットを使っています。私たちもお客さまと地域を結ぶような存在になりたいです」
──シンプルな店名が印象的です。
「人生には家庭や職場のほかに第3の居場所が必要だと思っています。料理や空間を通してリラックスしたり、リセットされたり…。1人でもゆっくり過ごしてもらえるよう、大きな机にこだわりました。1人で訪れた人が、今度は大事な人を連れて行きたいと思う店を目指しています」
写真=ビストロランチ(1500円)
【カフェ LIFE】
紀の川市下井阪455-3-102
11:00〜18:00
火曜と水曜定休
☎0736-78-3550
(ニュース和歌山/2018年12月12日更新)