徳川家が和歌山城に入り、今年で400年です。落語家の桂枝曾丸さんはこれにちなみ、毎冬恒例の落語会「わかやま芸品館」で、古典落語をアレンジした「友が島」を上演します。初代藩主頼宣が活躍する一席。また、平成の和歌山を振り返る新作和歌山弁落語も披露します。今年最初の「#イマワカtalk(とーく)」です。
徳川入城400年記念
──「友が島」という落語があるのですか。
「もとは古典落語『苫(とま)が島』です。古くは笑福亭松鶴師匠、最近は桂文我さんが子ども向けに演じています。私は徳川家の和歌山城入城400年に合わせ、和歌山の人向けにしました。参勤交代から戻ってきた頼宣が友ヶ島へ大蛇退治に行く話です。最初の地しゃべり(説明)で、江戸から東海道、大和街道などを通り、本町御門へ至る参勤交代のルートやその様子を紹介します。コラボ企画として徳川家の遺産を展示し、当時の雰囲気にも触れてもらえます」
──聞き所は?
「聞き慣れた地名が数多く出てきます。狐島や加太の妖怪伝説も盛り込みました。頼宣の人物像は専門家に意見を聞き、庶民派で生真面目な殿様にしました。頼宣に身を移し、笑ってもらいたいです。最後の大蛇との格闘は三味線や太鼓の派手な演出で、自分なりの『友が島』ができそうです」
伝える街の息づかい
──平成の和歌山を振り返る落語も楽しみです。
「漫画家のマエオカテツヤさんと練り上げています。昔、落語『ぶらくり丁へ行ってくら』で丸正百貨店地下にあった、ヒシャクですくうジュース売り場を出し、ある世代に懐かしんでもらいました。そんな風に平成、昭和をタイムトラベルしてもらいたい。すべて古いものが良いわけではありませんが、昔の人が覚えた街の魅力を若い人にも語り継ぎたいですね」
──枝曾丸さんは平成の和歌山で何が印象的ですか?
「1994年の世界リゾート博ですね。あのにぎわいに和歌山もやればできると希望を抱きました。あとは築映、帝国座といった映画館が消えたこと。親が鈴丸で商売をしていたので、私にはあの辺がぶらくり丁です。ちょっと怖い感じもありましたけれど、何か子ども心に冒険心をかきたてられるようなところがありました」
──和歌山弁落語で、将来的にやりたい内容は。
「次世代の和歌山を描く内容のものに挑戦してみたい。串本のロケット発射場誘致とか和歌山の未来、夢を感じさせる動きもありますから」
──最後に今回の芸品館への意気込みを。
「江戸や、平成の人の暮らし、街の息づかいを感じてもらいたい。笑って地元愛がこみあげてくる落語会にしたいです」
桂枝曾丸のわかやま芸品館其の十八
2月10日(日)午後2時、和歌山市民会館小ホール。出演は枝曾丸ほか、落語家の桂文五郎、露の都、漫談家のナオユキ。2500円、当日3000円。同館などで販売。同館(073・432・1212)。
(ニュース和歌山/2019年1月5日更新)