市民の台所として親しまれる七曲市場の古い空き店舗が、おしゃれな雑貨店「セブンドアーズ」に生まれ変わった。手がけたのは和歌山市の配管工、加地邦行さん(41)。3月には2階でカフェもスタートさせ、「体験教室やイベントも開いて市場を訪れる若者を増やし、にぎわいにつなげたい」と意気込む。
加地邦行さんら 元茶葉店をリノベーション
加地さんは、幼少期から廃材で家具を作るなど工作が得意だった。仕事で配管作業をするうち、日曜大工の腕も磨かれた。工具販売のインターネットショップ開設に向け、小学校からの友人でデザイナーの角田誠さん(41)と店の独自性について話し合う中、加地さんの義母から「10年前に閉めた七曲市場の元茶葉店を活用できないか」との相談を受けた。
加地さんにとって、小さいころに数回来ただけの記憶しかない七曲市場だったが、改めて歩くと、肉、魚、野菜、惣菜と個性的な店が並び、常連の心をつかんでいると知った。「平成が終わろうとする今、あえて昭和らしさが残る場所で店を開けば、店の独自性にできる」と可能性を感じた。
毎日仕事を終えた夕方から改修。土壁をはがし、雨漏りを修繕し、雑草だらけの庭を掃除した。角田さんは店内のレイアウトや色使い、商品選びで協力。茶葉を入れていた木箱を飾り、モダンな照明を取り入れ、あか抜けた雰囲気の中に歴史を感じさせる店に仕上げた。
地元作家や国内外の雑貨を扱うほか、作業スペースでは工具を使った日曜大工を楽しめる。カフェは、日本茶を中心にした飲み物と、市場のコロッケや惣菜を使った軽食の提供を考えている。
加地さんの義母は「素敵に生まれ変わった店を見た時は感動し、大切な時間が戻ってきたようでした。昔を懐かしむ世代から若者、子どもまで多くの人が集まる憩いの場になれば」と喜んでいる。
午前10時~午後4時。㊊休み。同店(073・488・2646)。
写真=空き店舗を再生した加地さん(右)と角田さん
(ニュース和歌山/2019年2月13日更新)