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 80歳の現役ベンチプレス選手、和歌山市の藤田俊夫さん(写真)が、2月22日につくば市で開かれた「ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会」男子70歳以上74㌔級に出場。目標としていた100㌔を見事成功した。主催した日本パワーリフティング協会によると80代で100㌔を記録したのは日本初で、「おそらく世界でも初めて」。快挙を達成した藤田さんは「『早く80歳にならないかな』と思うぐらい待っていた瞬間で、天に昇る気持ちでした。今後も今のレベルを維持してゆきたい」と満面の笑みを浮かべる。

 1回目、90㌔をまさかの失敗。残す試技は2回、「逆にこのミスがあったので、『次で決めてやろう』と覚悟が決まりました」。バーベルの重さを100㌔に上げた2回目、思いを込め両腕を突き上げると、他の選手や観客の歓声と拍手で会場はわき上がった。「『本当に達成したのか?』とほおをつねろうかと思ったぐらい。みんなから握手攻めで、気分は最高でしたね」

 台の上に仰向けになり、持ち上げたバーベルの重さを競うベンチプレス。藤田さんは還暦を過ぎた61歳の時、主治医から内臓脂肪の多さを指摘され、知人のすすめで始めた。3、4年後には100㌔を記録。そのころから「この記録を続け、80歳まで100㌔を」との思いを抱いていた。

 現在も自営するクリーニング店で働きながら、4日に1度の練習を欠かさない。今回の大会前は調子が良く、練習では10回中8回程度は100㌔をクリアしていた。「大会ではもう1つ、気合いが上がる。成功できるだろうと楽観視していました」と笑う。藤田さんにベンチプレスをすすめた阪口勝美さん(75)は「大会の1週間前、一緒にトレーニングしましたが、80歳になっても迫力がすごいし、100㌔を挙げる執念もすごい。私も刺激を受けています」と感服する。

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 永年の夢を叶えるため、趣味の磯釣りも「風邪をひくと大会に影響しますから」と我慢してきた。「大物との引き合いに負けた時は釣りをやめる時。続けるためにもトレーニングは継続していきたい。今回、大きな目標は達成しましたが、元気なうちはこれまで通り練習し、大会にも出場しますよ」。腕力のみならず、意気込みも衰えを知らない。

写真=100㌔のバーベルを持ち上げ会場はわき上がった

(ニュース和歌山2015年3月7日号掲載)