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 少子高齢化や人口減少が進む和歌山にとって、地方創生は重要な政策テーマの1つ。2015年度県予算では、国の補正予算で交付された26億円を活用する。

 国が過疎地域と定める人口減少が著しい地域は県内に18市町村。ここ45年間の減少率が50%を超える地域もあり移住促進に4億円をあてた。

 まず、県が田舎暮らし推進地域に指定する17市町村で年2回、計34回の農業や伝統文化の体験会を実施。40歳未満の移住者、1世帯につき最大250万円の奨励金を支給する。住居対策には、県内に8万6000棟ある空き家情報を一括で管理する定住支援住宅管理機構を組織し、空き家の所有者と移住希望者をマッチング。事務や家賃回収なども同機構が担い、所有者負担を軽減する。

 就職支援では、和歌山での就職先と生活情報を提供する窓口を、県内と東京、大阪に開設。大都市からの〝お試し就業〟も行い、都市部で働きながら田舎暮らしを考える30~40代の会社員を、人材不足に悩む和歌山の中小企業に紹介する。受け入れ企業には、半年を上限に人件費の半額を助成し、移住者の定着と地元企業の支援につなげる。

 観光振興には13億円。県外からの宿泊を伴う旅行客向けに9月~来年3月、ツアー参加費や宿泊費の割引を実施する。観光施設など500ヵ所へのフリーWi―Fiの整備に2億円、県有施設と観光施設の計800ヵ所の多言語案内表示に1億9000万円あてた。

 産業振興は9億円をかけ、地場産品の販売促進や新規販路開拓を促す最先端機器を導入する。優良な県産品を県が推奨する「プレミア和歌山」の販売専用サイトを立ち上げ、一定期間、割引販売を実施。割引分は県が負担し、地元企業を支援するほか、県産品を継続的に購入してもらえるよう、県内外にその良さをアピールする。また、試作品開発力向上のため、県工業技術センターに超高性能3Dスキャナとプリンターを取り入れる。

 国の補助金以外でも、県が独自に地元企業の競争力アップとして1400万円かけ、ものづくりカイゼン支援アドバイザーを育成。アドバイザーは中小企業へ出向き、作業の効率化や在庫の抑え方などの助言を行う。わかやま産業振興財団内にスクールを設置し、東京で研修を受けた指導者や専門家を講師に、企業OBらをアドバイザーとして養成する。

写真=田舎暮らし体験で都市部からの移住増を図る

(ニュース和歌山3月14日号掲載)