「お話するよ~、みんな集まっておいで!」──。4月に愛知県から和歌山市に引っ越してきた主婦の塚﨑かおりさんは5月末から毎週水曜日、和歌山市西汀丁の汀公園で本を並べ、おはなし会をする「たねはな文庫」を開いている。「本を通して友達をつくりたいと思い始めた。子どもと大人の心地よい居場所になれば」と力を込める。

和歌山へ今春来た塚﨑かおりさん 「子と大人の居場所に」

 2008年から、保護者同士が順番に野外で保育する自主保育の運営にかかわり、絵本を使わず童話や昔話を話す素話を身につけた。10年、転勤先のオーストラリアで、個人の蔵書を開放する家庭文庫と出合い、絵本の素晴らしさや公園で読む楽しさに魅了された。見知らぬ環境で心の支えになり、この後、愛知県で開かれていた文庫にも参加した。

 和歌山市に来て2ヵ月、4人の子を育てる生活にしんどさを感じる中、かつて慣れない土地で救ってくれた家庭文庫を開こうと思いたった。

 6月5日は、マットの上に『ゆかいなかえる』『いないいないばあさん』など絵本30冊と大人向けの本や雑誌、あやとりの糸を用意。読み聞かせや手遊びを楽しみ、集まった1歳~小4の10人が物語の世界に入り込んだ。

 2人の子どもと参加した井月和美さんは「1年前に県外から来ました。子どもがいろんな人や本に出会えるのがうれしい。取り組みに共感する部分が多く、ここから人の輪を広げていきたい」と話していた。

 午後3時~5時。申し込み不要。無料。雨天時や猛暑日など開催状況は「たねはな文庫」インスタグラム

写真=塚﨑さん(左)の読み聞かせに耳を傾けた

(ニュース和歌山/2019年6月15日更新)