廃線の危機に陥った貴志川線の再生を描いた映画『たま電 貴志川線物語』(仮)が製作に向け走り出した。伊太祁曽神社禰宜の奥重貴さんが、旧知の脚本家、村川康敏さんに働きかけて実現。奥さんは「存続運動に近い形で、一人ひとりが少しずつかかわって汗をかいて作り上げる作品にしたい」と張り切っている。
来年夏公開目指し始動
小学校時代は東京で過ごした奥さん。当時の同級生、村川さんが、えちぜん鉄道を題材にした映画『えちてつ物語』の脚本を手がけたと知り、依頼した。村川さんは映画プロデューサーの大橋孝史さんに相談し、貴志川線再生の物語を全国の地方鉄道の希望にしてもらおうと製作を決めた。
貴志川線で働く1人の男性運転士を主人公に、南海電鉄が撤退を表明した貴志川線をめぐり、存続に向け運動を展開する住民、和歌山電鐵として引き継いだ両備グループの小嶋光信社長らが登場。三毛猫のたま駅長誕生と再生に向けた人々の姿を描く。出演者は検討中だが、「エキストラ含め、和歌山にゆかりのある人に出演してもらえれば」と大橋さん。
10月に撮影し、来年5月に完成披露上映。7、8月に和歌山で先行公開し、9月以降、全国100館以上での公開を目指す。大橋さんは「公共交通が抱える課題は全国共通で、貴志川線は廃線からよみがえった希少なケース。このドラマを全国に届ける」と意気込む。
写真=発案した奥さん(左)と大橋プロデューサー
(ニュース和歌山/2019年6月26日更新)