江戸時代後期に築かれた和歌山市西浜の防潮・防波堤「水軒堤防」が6月21日、国史跡に指定された。

 紀の川河口から海沿いに南へ約2・6㌔伸びる堤防のうち、1・5㌔が指定を受けた。石堤、土堤、自然堤防で構成し、大半は厚い砂に覆われいるが、これまでの調査で高さ3・7~4・4㍍、幅27㍍以上と分かっている。

 石堤の海側は和泉砂岩を加工してすき間なく敷き詰めた切込接布積み、陸側は結晶片岩と砂岩を帯状に積み、精密で堅固に築かれ、基底部は木と杭で軟弱な地盤への対策を行っている。これらの点が近世の土木技術や防災意識を表す貴重な史跡として評価された。

扇の芝も一部追加

 また、和歌山城南西角、県庁前交差点と和歌山城の間にある扇の芝の一部が史跡に指定された。昨年度の49平方㍍に続き、今回は1338平方㍍と大幅に追加された。

 江戸時代の地誌書『紀伊国名所図会』に登場し、芝生が広がっていたことが伺える扇の芝。城の南西側は堀がなく、敵の動きを察知しやすい広場にし、1846年に落雷で焼失した天守を再建する際は作業場「御普請所」として利用された。

 現在は商業地だが、市は復元を目指し用地取得を進めている。

写真=左が海側で切込接布積みになっている(県教委提供)

(ニュース和歌山/2019年7月10日更新)