今回の依頼は和歌山市の小二里弘美さんから届いた「紀の川市桃山町に『犬の墓』というバス停留所があるのですが、その名前の由来はなんですか?」という疑問です。

 紀の川市地域巡回バスが通る停留所のひとつで、1日に6回しか停車しないこのバス停。山の中ののどかな風景の中に立つ、とてもインパクトのある名前の停留所ですが、なぜこんな名前が付いたのでしょうか。

 紀の川市生涯学習課班長の小西晴久さんに聞くと、内容の違う2つの説を教えてくれました。

写真=名前だけでインパクト充分

 


 

「忠犬」「先人の知恵」2つの説

 「紀の川市桃山町のバス停の名前、なぜ『犬の墓』?」。紀の川市役所の小西晴久さんに聞いた一つ目の説は、昔、この近くを流れる柘榴川(ざくろがわ)に子どもが落ちてしまい、おぼれていたところを飼っていた犬が気づき、川に飛び込んで助けようとしましたが、重くて運べませんでした。そこに、犬の鳴き声を聞いた母親や村人たちが集まり子どもを助けました。

 その後、村では犬を大事に飼っていましたが、寿命で亡くなってしまい、村人たちは犬のために、近くの神社に墓を作りました。「それからこの地域はだれからともなく『犬の墓』と呼ばれるようになった、との民話があります」

 そしてもう一つ。この地域にはもともと高貴な人の墓があり、「院の墓」と呼ばれていました。ただ、高貴な人の墓と知られると、一緒に埋葬した宝物を盗賊が奪いに来るかもしれない。そこで、村人たちが盗賊に気づかれないように、音の似た「犬の墓」へ読み換えたとの説です。

 「忠犬」と「先人たちの知恵」、インパクトのある珍しい地名には2つの物語がありました。

(ニュース和歌山/2019年8月24日更新)