当事者「見かけたら声かけて」

 街中で視覚障害者が白杖を上に掲げていたら──。これは「白杖SOSシグナル」と呼ばれ、視覚障害者が困ったことがあると周囲に知らせるポーズだ。8月上旬、インターネット上で話題になった。和歌山市視覚障害者協会理事の能澤義和さんは「和歌山でも点字ブロックの上に看板や自転車が置かれていることがある。立ち止まっている人を見かけたら声をかけてほしい」と呼びかける。

 8月5日、神奈川県の藤沢駅周辺で、点字ブロックが放置自転車にふさがれていた。白杖を掲げる視覚障害者を見た男性が駅まで誘導し、このことをツイッターに投稿した。だれも気づかず、炎天下で立ち尽くしていたらとの危機感から、啓発を呼びかけたところ、27万人以上に情報が共有され、「SOSシグナルを知らなかった」との声が相次いだ。

 白杖を頭上50㌢程度に掲げるポーズは、1977年に福岡県盲人協会が考案し、2015年の全国盲人福祉大会を機に、啓発運動が始まった。困っている視覚障害者を見つけたら、正面から声をかけ、必要があれば自分の肩やひじに手をかけてもらい、白杖を持つ手に触れないよう、ゆっくり誘導する。

 能澤さんは「白杖を上に掲げるのは、視覚障害者にとって勇気がいる行動。和歌山県は音のなる信号機の普及率が25年連続全国1位と街のバリアフリーは整っているが、一番大事なのは心のバリアフリー。もっとSOSシグナルが浸透してほしい」と願っている。

写真=白杖を掲げる人を見かけたら声かけを

(ニュース和歌山/2019年9月11日更新)