田舎で実践 地域おこし

 高野町の山の中に住んでいます。といっても、観光地の高野山とは関係なく、信号もコンビニもガソリンスタンドもなく、買い物は車で山道を30分走らねばならず、冬は雪が10㌢ぐらい積もるようなトコロです。マチの生活と比べ不便ですが、山菜や薬草を採ったり、ケモノと戦ったり、職人さんとコラボレーションしてみたり、冬の氷点下を生かして凍(し)み大根を作ってみたり、と満喫しています。

 そして、そんな場所でやっているコトは地域おこしの仕掛けづくり! 和歌山出身の私は大学、会社と県外で住んだことで、他県との比較によって見える和歌山の良さと課題、失われつつあるものに気づくことができました。

 会社に5年勤めた後、高知県四万十町で実践的な地域おこしを学び、和歌山の農山漁村の地域おこしの必要性を感じて2013年にUターン。広域で地域おこしの仕掛けを実践する団体「いなか伝承社」を立ち上げました。

 私の感じた和歌山の地域課題は、①県域紙がないので情報収集・情報発信・仲間づくりに非常に不利②身近な自然の豊かさや足元に眠っている文化の価値に気づいていない。未利用地域資源が多い③地域の課題を狭い地域内だけで解決しようとしている④ただ参加者を集めるだけの「もったいない」イベントが多い。住民や地元高齢者が絡まない⑤田舎の高齢者は農業や大工仕事、炭焼き、石垣積みなど色々なスキルを持っているのに、その価値に気づいていない。お金もモノもない時代は知恵と身近にあるモノで乗り切ってきた。高齢者が亡くなると残らず、そこで終わりになってしまう、今生きているうちに伝えないと⑥田舎の住民とヨソモノが出会う場が少ない。ヨソモノが田舎にふらっと来れる受け皿の仕組みがほとんどない⑦地域おこし協力隊制度(ヨソモノを田舎に呼ぶ総務省の制度)の運用がかなり下手。

 次回は、これらの課題解決、日本や田舎の文化を残す「いなか伝承社」の取り組みを紹介します。

(ニュース和歌山/2019年9月14日更新)