和歌山の様々な分野で活躍する人が一堂に会し、それぞれの特技や活動について紹介する初のイベント「わかやまおもしろひと博」が9月23日㊊、岩出市根来の旧和歌山県会議事堂で開かれます。企画するのは同市の主婦で、手作り市「虹色市場」を定期的に開く山下由実さん(39)。博覧会に並ぶ物品を人に置き換えたユニークな取り組みに込める期待と思いを尋ねました。

 

語り合う1日に

──面白い人を集めて紹介する博覧会。発想がユニークです。

 「和歌山の観光マップを見ていた時にひらめきました。県内各地にある魅力ある観光スポットを全て回るには時間がかかりますが、1ヵ所に集めてしまえば1日で回れるのではと考えたんです。和歌山には面白い取り組みをしている人がたくさんいます。そういった人たちに集まってもらえば、きっと楽しい空間が生まれるだろうと思ったんです」

──どんな人が集まりますか。

 「よくある物産展や手作り市とは異なり、人の夢や思いを最重要項目として募集しました。好きなことややりたいことを、様々な難題を乗り越えて実現した87人がブースを設けます。それぞれの得意分野や取り組んでいる活動について実演や説明、ワークショップなどで紹介します」

──具体的にどんな人たちがいますか。

 「幼稚園跡をライブができるカフェに改装した人、親の介護をしつつ子ども向けにフェルトのおもちゃを作る人、ほかにも和菓子職人や画僧、雑貨の作家など、自分の『好き』を形にしている人です。大人になると何でも我慢しがちですが、ふれあう中で『人生ってもっと楽しんで良いんだ』と気づいてもらいたい」

──会場は旧県会議事堂を選びました。

 「その名の通り、一昔前は県会議員が和歌山の未来について熱く語り合った場です。そこで今、地域で頑張っている人たちと出会い、和歌山への思いを語り合う1日にしてほしい。岩出根来インターが近く、和歌山の玄関口でもあるので、地元はじめ県外からも来てもらい、たくさんの人がつながってほしいですね」

手作りの良さを

──活動のきっかけは。

 「高校卒業後、和歌山県外で就職しましたが転職、結婚を経て和歌山へ帰郷しました。当時、子どもの夜泣きがひどく、夫は夜勤のため不在で、育児ノイローゼ気味に。そんな時、子育て支援センターで手作りしたおもちゃで子どもが笑ったんです。何でもデジタル化が進む現代ですが、使う人を思って作られる手作り品の良さを知りました」

──その魅力を広める活動に取り組んでいます。

 「まず、布小物や子どもが幼稚園に持っていく絵本カバンなどを作るようになり、同じ喜びをより多くの人に感じてもらえるよう、2015年に始めたのが虹色市場です。年1回、1人の主婦が始めた活動は当初30店でしたが、今では120店、6000人近いお客さんが来てくれるイベントに育ちました。今年3月からは、ねごろ歴史の丘で月1回マルシェも開いています。今回の博覧会は、活動の中で出会った人たちをもっと知ってもらいたいとの思いも込めています」

──今後は。

 「10月20日㊐には同じ会場で手仕事に特化した体験博を開きます。人は出会いによって進化し、変化します。活動の原点を大切にしつつ、そんなきっかけを提供できる場づくりを続けたいです」

 

おもしろひと博

 9月23日㊊午前10時半〜午後3時半、岩出市根来の旧県会議事堂。山下さん(0736・61・1814、メールyumi.yamayama@icloud.com)。

(ニュース和歌山/2019年9月21日更新)