望海楼旅館の経営者が客寄せのために、奠供山(てんぐやま)に設置したエレベーターです。開業は明治四十三(一九一〇)年十月でした。
夏目漱石がここを訪れたのは、翌年の八月十四日です。その次の日、漱石は和歌山県会議事堂での講演で、「実は私も動物園の熊の様にあの鉄の格子の檻の中に入って山のうえへ上げられた一人であります」と述べています。小説『行人』では「牢屋に似た箱」とも書いています。左の三階建ては漱石たちが宿泊した望海楼新館です。
紀国堂=和歌山市卜半町38=店主の溝端佳則さんの古写真を紹介します。
(ニュース和歌山/2019年9月21日更新)