母親とトークイベント

 学校ではなく、自宅で勉強することを選ぶホームスクーラー。和歌山市の中学3年生、髙垣幸佑さん(写真左)と母の陽子さん(同右)もその道を選択した。その2人が10月29日㊋午後2時、JR和歌山駅前のJAビル2階で、同じ境遇の子を持つ親向けに不登校中学生の学びと進路選択についてトークイベントを行う。

 「僕の人生に学校は必要ない」。小学5年生だった幸佑さんは、2学期が始まってすぐ宣言した。陽子さんは「彼の言葉の意味が分からず、腕を引っ張って無理矢理登校させたのですが、教室に向かう息子が私の方に振り返って、『僕は行きたくない』と、見たことのない決意のこもった表情で私に言ったんです」と振り返る。

 悩む中、陽子さんはホームスクーラーについての記事を見つけた。自宅で自分の好きな分野を突き詰めて学んだり、親が教師の代わりに勉強を教えたりとパターンはそれぞれ。いじめを苦に選択することもあるが、学校の授業が合わないと感じる子や、好きなことをもっと自分のペースで学びたいと思う子が選ぶケースも少なくない。幸佑さん自身も、学校の授業システムが合わないことに毎日苦しんでいた。

 幸佑さんは来年、大阪の通信制高校へ入学が決まっている。「将来はゲームの制作会社に入りたい」とプログラミングの勉強を始めており、進学後、本格的に学ぶ予定だ。

 イベントでは、陽子さんが母として不登校になった息子とどう向き合ったかを語り、中学卒業後の進路の選択肢をいくつか例に挙げ、質問に答える。「現在、ホームスクーラーを選択している家庭も、相談相手は少ないと思う。みんなと一緒じゃなくてもいいと伝えたい」と力を込める。

 企画した社会福祉士の小畑彩さんは「追い込まれて不登校になるのが一番悲しい。自主的に学びたいことに取り組む姿勢を肯定したい」と話す。

 定員12人。同日午前10時、「子育てに活かす行動学セミナー」も開催。いずれも無料。希望者は小畑さん(tekizaitekisho1728@gmail.com)。

(ニュース和歌山/2019年10月26日更新)