3月21日(土)に甲子園球場で始まる全国選抜高校野球大会。21世紀枠で出場する桐蔭高校でかつて32年間教壇に立った多紀治子さん(96、写真左)が3月12日、〝和中魂〟とプリントしたタオル120枚を贈った。
和中魂は桐蔭の前身となる和歌山中学時代、漢文の授業に使われた教材のタイトルで、多紀さんの父、仁之助さんが作ったもの。多紀さんは「父が生きていたら喜んでくれると思います」と笑顔を見せていた。
漢学者の仁之助さんが大正初期にまとめた和中魂。文武両道を追求する内容で、当時の勉学の柱となっていた。和中の校歌は和中魂から抜粋して詞が作られ、第二次世界大戦時には出征する在学生や卒業生を見送る際に歌われた。
多紀さんは和中時代から数え、130年の節目を迎えた2009年、和中魂の冊子を作成し、2000冊を同校に寄贈。今回は硬式野球部が53年ぶりに選抜大会に出場することから、和中カラーの青で文字をあしらったタオルを寄付した。また、桐蔭や和歌山大学教員らの協力を得て、和中魂の口語訳が完成したことを報告した。岸田正幸校長は「和中魂は我が校の伝統を示す大きなもの。何らかの形で生徒たちに伝えたい」と話していた。
桐蔭の初戦は3月22日(日)。午前9時からの第1試合で、愛媛の今治西と対戦する。
(ニュース和歌山2015年3月21日号掲載)