怖さ:4
山の妖怪
出没地域:有田川町
美しい棚田の景色が有名な有田川町のあらぎ島にその昔、〝伝さ〟という人が住んでいた。親や兄弟、妻子がおらず、手のかかる伝さに村人は困っていたが、ある日、亡くなってしまった。村人が棺桶(かんおけ)を作り、山へ葬りに行く途中、結んでいた縄が切れて崖下へ落ちてしまった。様子を見に行くも、伝さの姿はなく、残っていたのは棺桶だけ。後日、この棺桶は大きな岩になったという。村人は祟りがないよう、ここを伝魔墓として供養した。ある時、この近くで農夫が草刈りをしていると、耳元で虫の鳴き声がするので、手で虫を払ったところ、農夫の耳も飛んでしまった。こんな奇妙なことが度々起こるため、恐れた村人は近寄らないようになったそうだ。
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(ニュース和歌山/2019年11月9日更新)