人の輪を通じ、生きがい創出を支援する和歌山県健康生きがいづくりアドバイザー協議会。地域や企業など多彩な分野で活躍する人材を養成し、今年で20周年を迎えた。その中、同協議会が打ち出すのが「100歳大学」構想だ。生涯現役のための〝第二の義務教育〟を目指すもので、昨年、設立準備委員会が発足。2月1日㊏にはシンポジウムで必要性と意義を訴える。同協議会は「人生100歳時代。高齢者が健康で過ごせ、地域を支える仕組みにつなげます」と力が入る。
県健康生きがいづくりアドバイザー協議会 老いへ備え地域支える
健康生きがいづくりアドバイザーは「健康・生きがい開発財団」の認定資格。健康で生きがいを持ってすごす意義の啓発、仲間づくりやサークル活動の支援のほか、中高年齢者から相談を受け助言する。全国に51の地方組織があり、アドバイザーは約5千人に及ぶ。
和歌山では2000年に県健康生きがいづくりアドバイザー協議会が発足。養成講座を毎年行い、現在38人が語り部、キャリアカウンセラー、インストラクターなど様々な分野で、ノウハウを生かしている。
和歌山市でラフターヨガ(笑いヨガ)教室を開く藤島壽子さんは設立当初からのメンバー。「地元出身でなく、友人をつくりたいと参加しました」。そこから友人ができ、ボランティア活動に参加。輪が広がる一方で、自ら教室を主宰するまでに。「まず自分が生きがいをみつける。生きがいは人それぞれなので、触れあう中で引き出していければ」と語る。同協議会の市野弘会長は「最近は定年前の人も講座に来ます。それぞれの現場で、生きがいを考えのベースにして取り組んでもらえています」と話す。
その市野さんの提案で動き始めたのが「100歳大学」構想だ。市町村の実施で、対象は60〜75歳。地域で週1回開き、約10ヵ月間、人生100歳時代の中身、運動や疾病予防など老いへの備えを学ぶ。修了後、地域を支え、就労につなげるなど人生の第二幕を社会とかかわり健康に過ごす基礎を身につける。
市野さんが昨年5月25日号のニュース和歌山コラムで訴えたところ、賛同の声が寄せられ、昨秋に100歳大学設立準備委員会が立ち上がった。同委員会委員で和歌山LOGシニアコープの高林稔さんは「高齢者が自然に衰え要介護になるのではなく、プレフレイル(前虚弱)に留まり、戻るために必要なことを学ぶ教育の福祉との考えが根底にあります」。
県外では滋賀県の粟東市、湖南市で既に導入され、新潟県長岡市、愛知県大治町で検討が進む。同委員会は和歌山市へ働きかけており、副委員長の吉本昌純同市議は「高齢者が地域で力を発揮する基点になる。市が進めれば、考え方が市民へ浸透します。シンポジウムはその第一歩。多くの方に必要性を感じてほしい」と望む。
他市では100歳大学を介し、高齢者が子育て支援の仕事についた例も出ており、市野さんは「高齢者が家から出て、地域の担い手になる、そんな人生二幕目への道筋をみんなでつくっていきたい」と意気込んでいる。
シンポジウム「人生は二幕目がおもしろい」
2月1日㊏午後1時、和歌山市手平のビッグ愛1階。
健康生きがいづくり公演として、南京玉すだれや腹話術、ラフターヨガなどを披露。3時から國松善次元滋賀県知事の講演「第2の義務教育」。和歌山100歳大学設立準備委員会の浦口高典委員長、理学療法士の龍神正導さんらよるトークがある。
無料。同協議会(073・474・2248)。
(ニュース和歌山/2020年1月25日更新)