銀聲舎 日記翻刻し出版
戦前、和歌山県民が台湾へ行った際の日記が見つかり、文化財の有効活用を目指すNPO銀聲舎の松尾寛代表が日本語と英語の解説文をつけ、『昭和丙子台湾屏東之旅』と題し12月31日に出版した。
1936年、現在の台湾屏東(へいとう)県を旅した和歌山市の男性が、現地の産業や観光、食文化について記した日記。和歌山城や和歌浦、県庁付近で営業していた中華料理店など、当時の和歌山についても書かれている。また、同じ時期に日本を揺るがした二・二六事件や阿部定事件にも触れている。
2018年春、同市の民家でこの日記が見つかった。これを聞いた松尾さんは、過去の台湾の建築物や街並みがうかがい知れることから関心を持ち、和英で解説文を執筆。さらに、戦後の白浜温泉をけん引した台湾人実業家、黄秋茂氏に関する資料、屏東市の近代建築マップや観光案内も盛り込んだ。
松尾さんは「この人物が見た台湾の景色や文化、和歌山の風景がリアルに描かれている。屏東は観光地の高雄市に近いので、この本を片手に巡ってみてほしい」と話す。
A5判、28㌻。330円。申し込みは松尾さん(kuan1125@gmail.com)。
(ニュース和歌山/2020年1月25日更新)