地名に関する質問が多いこのコーナー。今回は池の名前についての疑問です。「海南市小野田に鰹田池(かつおだいけ)という池がありますが、なぜ海の魚の名が付いているんでしょう?」。同市の永田秀樹さんから届きました。

 質問と一緒に送ってくれた地図を見ると、海南市役所の北東数百㍍の場所にこの池はあります。海抜は約40㍍で、「昔、鰹が泳いでいたのでしょうか?」と永田さん。

 池の名に海水魚の名前、確かに奇妙な組み合わせです。海南市語り部の会顧問の芝村勉さんに聞くと、興味深い言い伝えが…

 


 

津波でこの場所まで鰹が来たとの言い伝え

 「海南市小野田に〝鰹田池〟という池がありますが、なぜ海の魚の名が付いているんでしょう?」。海南市語り部の会顧問の芝村勉さんに尋ねると、「『亀川百年史』にこんな言い伝えが載ってます」と教えてくれました。

 亀川小学校百周年記念事業実行委が1978年に出したこの本の「地震津波」という項目にありました。海岸から離れている亀川地区は過去に津波の被害はほとんどなかったものの、「日方湾におこった津波は時としてその影響を与えたらしく、小野田南部の鰹田池はその海水が浸入し、池中に鰹をはこび込んだためこの名が残っているのだとさえ伝えられています」と記載されています。

 芝村さんは「熊野古道沿いのクモ池よりさらに東にある池まで津波とは、信用していいのか分かりませんが、おもしろい話ですね」とにっこり。ひょっとすると先人が、津波への警鐘を鰹田池との不思議な名前に込めたのかもしれませんね。

写真=津波でこの池まで鰹が来た?

(ニュース和歌山/2020年2月22日更新)