謎解き代行社でよく取り上げる地名。今回は、匿名希望の方から届いた「和歌山市の向之芝と呼ばれる地域、施設を電話帳を調べても住所名ではないようですが、通称と考えればいいのでしょうか」です。
例えば向之芝公園や、周辺のコンビニ、銀行も「向芝支店」や「向芝オフィス」となっていますが、どこも所在地は「中之島」です。
一体、「向之芝」とはなんなのか。調べてみると、今、公園や県立体育館がある場所に「向ノ芝〇〇」があったことが分かり…。
写真=「向之芝公園」だけど所在地は中之島
公園や昔の球場名にある小字が浸透
「和歌山市の向之芝と呼ばれる地域は住所名ではなく通称?」。同市総務課の小切隆史さんに聞くと、「向之芝は中之島地区にある小字です」とのこと。小字は一般的には電話帳やインターネット上に掲載されません。なのになぜ、小字が広まったんでしょうか。
そのヒントを中之島連合自治会の白井公雄会長に聞けました。白井会長によると現在、向之芝公園や県立体育館がある場所にはかつて、向ノ芝球場や陸上競技用のトラック、テニスコートがあり、「中之島小学校に通っていた当時、マラソンの練習や写生大会で利用しました」。
確かに、1974年発刊『和歌山県高等学校野球史』では夏の県予選の会場が、51年までは桐蔭高校となっていますが、52年はこの年に完成した向ノ芝県営球場に変わっています。そして11年後の63年、「球児に親しまれた向ノ芝県営球場は移転のため、本年度限りで閉鎖」とあります。
球児たちが白球を追った夢舞台が〝向ノ芝〟県営球場だったことが、小字ながら今も向之芝が浸透している理由かもしれませんね。
(ニュース和歌山/2020年3月14日更新)