和歌山大学発のベンチャー企業、パワーアシストインターナショナル(和歌山市中)のパワーアシストスーツが8月14日㊎まで、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で展示されている。世界各地の都市部以外で起こっている変動を記録するのがテーマの企画展で、「高齢化が進む日本の農村部の未来を支える技術」として訪れた人の関心を集めている。

 パワーアシストスーツは力を支援する装着型のロボットで、同社代表を務める和大の八木栄一名誉教授(写真上)が開発した。少子高齢化による地方の労働力不足を解決するには高齢者や女性の力が必要になると、2005年から研究を重ね、18年に発売した。重い物の上げ下ろしや中腰での作業などで腰にかかる負担を軽減する。高齢化が進む和歌山のミカンやウメ、コメ農家を中心に、全国の農業や介護、大手ゼネコン、物流ほか様々な現場で導入が進む。

 近現代アートを展示する同館はセントラルパークに隣接し、年間約100万人が訪れる。2月に始まった今回の展示はハーバード大学教授で建築家のレム・コールハース氏が企画し、日本の先駆的なロボットの一つとしてパワーアシストスーツを紹介。展示を見た人からは、高齢世代の活躍の場が広がることへの期待や、高齢者が働き続けざるを得ない現代社会への意見が寄せられている。

 八木代表は「人間と融合した新しいロボットに選んでいただき光栄。将来的には全世界の農村部で高齢化が進むと予想される。さらに改良し、最終的には高齢者が日常でこのスーツを着用し、街中をかっ歩する社会を目指す」と熱を込める。

写真下=グッゲンハイム美術館で展示中のパワーアシストスーツ(提供=早稲田大学、小林恵吾准教授)

(ニュース和歌山/2020年3月21日更新)