遊休不動産のリノベーションを軸に中心市街地の活性化を図る紀州まちづくり舎がこの春、新たな挑戦を始める。同社を中心とした紀州まちづくりグループが、本町公園と本町地下駐車場の指定管理者となり、公園と周辺地域のにぎわい創出を目指す。同社代表の吉川誠人さんは「公園の利用者を増やすことで駐車場収入を上げ、その利益をまたまちづくりに生かしていきたい」と張り切っている。
紀州まちづくりグループ 地下駐車場と合わせ運営
2014年設立の紀州まちづくり舎は、ぶらくり丁の空き店舗をリノベーションし、飲食店やゲストハウス、ギャラリーを運営。このほか、5年前から毎月第2日曜に同商店街でマルシェイベント「ポポロハスマーケット」を開いており、平均約8000人、多い月は1万人を集める。
和歌山市は2年前、中心拠点再生地区に位置する本町公園と、11年から休止している本町地下駐車場を合わせて民間委託することに。紀州まちづくり舎、駐車場管理などを手掛ける大揚興業、空き家、古民家の活用や再生支援などを行う会社、和みほかでつくる紀州まちづくりグループが指定管理者となった。
市が駐車場の管理を民間委託する際、これまでは委託料を受託者に払い、売上は市に入る形だった。本町地下駐車場の場合は、紀州まちづくりグループが市に基本納入金を支払い、売上は同グループに。売上が一定額を超えると、その一部を市に払う仕組みだ。吉川さんは「ポポロハスマーケットの開催日、周辺のコインパークは満車状態になっている。こうした形で得た本町地下駐車場の収入を原資に、魅力あるエリアづくりを進めます」と力を込める。
公園利用者を増やし、駐車場の稼働率を上げるため、様々な策を練る。まずは倉庫として使われていた公園東端の建物をリノベーション。1階にカフェ・バーを設け、ペットと入れる部屋も確保する。2階は各種講座に使える貸しスペース、異なる職業の人が利用する貸しオフィス、コワーキングスペースとする。
芝生が広がる広場では定期的にマルシェイベントを開く。また、毎月のポポロハスマーケットと連携したイベントも開催。自主イベントだけでなく、様々な人に活用してもらいたい考えだ。
公園のすぐ東、築地通りに並ぶアーケード街を「元寺町ストリート」として9年前から盛り上げる西中宏さんは「あの芝生広場で盆踊りを開けないかと、ぶらくり丁や城北エリアの方たちと以前から話していました。公園の場所はいい。和歌山にあるスパイスカレーの店を集めてイベントするのも面白い」。
市も、公園がコミュニティの場となるよう期待する。市公園緑地課は「公園の魅力を高めることで、住民の皆さんが本町公園に興味を持ち、自主的に美化活動に参加するなど、住民の手で公園を育てていってもらえるようになれば」と望む。
今後、収益を使って公園を整備していく。吉川さんは「私自身、農業にも取り組んでおり、公園内に農園を設ける案も。本町公園から緑あふれるまちに少しずつしていけたらいいですね」と描いている。
地下駐車場の再オープンは4月1日㊌。さらに26日㊐にカフェ・バーのオープンと公園リニューアルオープンイベントを予定している。また、本町公園お掃除&バーベキューを18日㊏午前10時~午後3時半に実施。無料。紀州まちづくり舎(073・425・8583)。
写真=駐車場の利用者をいかに増やすか検討中。中央が吉川さん
(ニュース和歌山/2020年3月28日更新)