未来チケットわかやま
「飲食業は生活インフラ」と言われ、コロナウイルス感染防止のための休業要請対象から外されたが、お店を開けてもお客様は来ない。
閉めていても家賃はそのままかかるし、従業員さんにも生活があるため、お給料も出さなければいけない。しかも、お店側はお客様に積極的に「お店に来てください!」と呼びかける事さえできない風潮になり、さらには営業しているお店に誹謗中傷が起こるようにさえなっていった。
行政による補償もまだ決まっていないこのころは営業しても地獄、閉めても地獄という絶望感が漂っていた。
そんな中、クラウドファンディングという手法で、騒動が明けた後に使ってもらえるお食事券をインターネット上で今買ってもらい、先にお店に売上を届けるプロジェクト「未来チケットわかやま」を立ち上げた。今は胸を張って「お店に来て!」とも言えないが、お食事券なら買ってくださいと発信することができる。
この仕組みに賛同してくれた和歌山市内のお店が82店舗も集い、さらには行政も後押しして応援してくれた。
この取り組みは単に売上を確保するための物ではなく、和歌山市民の皆様に地元にはたくさんの魅力ある飲食店があって、今すごく大変だけど必死で頑張ってる事実を知ってもらい、そして応援してもらう。地元のお店を地元の人達で応援して買い支えしようとの取り組み「BUY LOCAL」の一環で、この試みにより域内経済循環が盛んになれば地元経済がさらに強固で豊かになる。
そう信じて始めたプロジェクトは実際に「お食事券不要」の、ただ寄付だけをしてくれる申し出が想定外に数多くあり、さらには支援者からの応援メッセージによりたくさんの飲食店が勇気づけられ、参加店舗と支援者(地元市民)のつながりを深く感じる事ができたと思う。
同時にテイクアウトの動きも始まり、たくさんの飲食店さんが生き残りをかけてお弁当販売に乗り出した結果、さらに地元飲食店を応援する風潮が加速した。そんな街の動きを見ていると、感動と感謝で胸がいっぱいになっていった。
(ニュース和歌山/2020年6月20日更新)