《回答者》
◆外 科
楽クリニック
藤田 定則院長
痔ろうは、肛門の奥の直腸から肛門周囲の皮膚にむかってトンネルができる病気です。肛門の周りに膿(うみ)が溜まる肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)が悪化して発症します。下痢や温水便座の常用などによる細菌感染によって起こるのがほとんどですが、ときに裂肛や腸疾患のクローン病が原因となることもあります。肛門近くが腫れ、痛みを伴い、トンネルから膿が出てきます。
自然に治ることは少なく、放っておくと重症化し、治療が難しくなります。軽症であればトンネル部分の切開手術のみで済みますが、肛門の筋肉に影響が及ぶほどの重症になると困難な手術となるため、入院や通院も時間がかかります。
最近では、トンネルを切開せずに治す「シートン法」が広く普及しています。これは、膿のトンネルにゴムひもを通す方法で、治療期間は長くなりますが、肛門の変形や便漏れ、再発が少なく、日帰り手術が可能です。痔ろうの症状を自覚している方は早い時期の治療をお勧めします。
(ニュース和歌山2020年6月27日号掲載)