《回答者》
◆整形外科
手・足の外科センター手外科専門医
貴志川リハビリテーション病院
副院長 谷口泰德センター長
「ばね指」とは、指の腱鞘炎(けんしょうえん)のことです。
手の指には、指の関節の曲げ伸ばしを可能にする腱と、腱の動きをスムーズにするための腱鞘というトンネルがあります。ところが、何らかの原因によって腱が厚みを増し、腱鞘の中を通過しにくくなると指の付け根に腫れや痛みが起こります。これが腱鞘炎です。腱鞘炎が悪化すると、指を伸ばすときに腱が腱鞘に引っかかって曲げ伸ばしが困難になったり、引っかかりが外れた際にばねが弾けるような動きが生じ、強い痛みを伴います。
ばね指は、手をよく使う中年女性に多く、中年男性にも見られます。糖尿病や透析患者が罹患した場合は、重症で長引く傾向があります。手の指5本すべてに発症しますが、親指、中指、薬指が多数です。両手に同時に起こることもあります。
治療はまず、手の使いすぎを控えて、局所を安静にし、飲み薬で経過を見ます。症状が進行している方には、手指に麻酔入りのステロイドを注射します。薬や注射で改善しないときや再発を繰り返すときは、手術となります。手術は、腱鞘の一部を切開するだけで、小さな傷で済みます。手指に痛みがあれば、早い段階で手外科専門医に相談しましょう。
(ニュース和歌山2020年6月27日号掲載)