《回答者》
◆循環器内科
みなかたクリニック
南方 常夫院長
お話しを伺いますと、安静時に数秒〜数分間、前胸部に針でつつくような鋭い痛みが起こり、深呼吸すると痛みが増すとのこと。「前胸部ひっかかり症候群」かも知れません。
この病気は、身体診察は正常である/疼痛には再現性がない/一般的には若くやせ型、または中肉中背で健康そうな人に多いという点が特徴です。痛みはごくたまに現れることもあれば、1日に数回、数週間続くこともあり、背筋を伸ばして座ると痛みは軽くなります。ご心配のようですが、この病気は特に治療の必要はありません。同様の症状には、肋軟骨炎や筋骨格系の胸痛もあります。
しかし、胸痛には、肺塞栓や心筋梗塞、大動脈解離、縦隔気腫、気胸、肺炎、肺がん、縦隔炎、食道穿孔、胸水などの重大な疾患が隠されている可能性もあります。これらの病気でないか確認するには、少なくとも心電図、胸部X線、酸素飽和度などの検査が必要です。結果に異常があれば精密検査を行いますが、中高年や高齢者では異常が見られなくても狭心症や心筋梗塞などを疑い、発熱、動悸、息切れ、疼痛の変化などを経過観察します。
気になる胸の痛みがある方は、主治医の先生とよくご相談ください。
(ニュース和歌山/2020年7月25日更新)