新しい価値観と距離感
2020年、新型コロナウイルス感染症により営業を休止していたホールや劇場、ライブハウスなどのエンターテインメント業界。営業は再開しても、室内、野外を問わず、いまだに人が密集する趣味や娯楽には抵抗感が色濃く残っていると感じます。
そんな中、オンラインの配信ライブが増えています。これからはオンラインが盛り上がる事は間違いない。けれど、それが定着するかについては不透明です。
個人的にオンラインの画面越しだと、どうしても実際のライブに比べると物足りない。直接現場で体感し楽しむ生のライブとは全くの別物です。そのため、今後の主流がオンラインライブに傾いていくというよりも、既存の生のライブと新しい配信ライブとの共存が模索されていくと思います。物理的に現場に行けない人や自宅でオンラインを楽しみたい人のためにも、見る選択肢が増えるのはとても良い事です。
今後、5G通信が生活に浸透すれば、技術が進化して新しい体験方法が生まれると予想できます。もしかしたら来年のオリンピックは、5Gを活用し、様々なアングルから試合が見られるパブリックビューイングが開かれるかもしれません。そうなれば、生のライブも個人で楽しむのではなく、距離を保ちつつ人が集まり、画面を共有するパブリックビューイング的手法が増える可能性はあります。
ただ、どんな世界になろうと、人間らしい喜怒哀楽を感じて空間を共有する、スポーツ観戦や美術鑑賞、盆踊り、音楽ライブといった娯楽は必要だと思います。これからは人それぞれの新しい価値観と距離感で、大切な家族や場所、地域を守るために考えて行動しましょう。
エンターテインメントを取り巻く環境は現在も厳しい。しかし生のライブを愛する人々と、表現するための場所を守ろうとする人がいる限り、決して途絶えることはありません。「文化は大切なもの」だと社会全体に向けてアピールし、自分ができる範囲で、経済の再生と新型コロナウイルス克服に向けた取り組みの力になりたいと思います。
(ニュース和歌山/2020年8月8日更新)