《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院 亀井 一郎院長

 認知症の症状には大別して、「中核症状(基本となる症状)」と、そこから派生して出現する「周辺症状」があります。

 「中核症状」は、記憶障害、見当識障害(時や場所がわからない)、思考力低下など、まさに認知症における基本症状をいいます。「周辺症状」は、中核症状のために周りの人とうまくコミュニケーションが取れず、あるいは軋轢が生じ、これらをカバーするための作話(うそを言っている意識はないが、つじつまを合わせようと作り話をする)や妄想(嫉妬妄想など)、攻撃的行動が見られるようになり、さらには方向がわからなくなったり、目的を忘れてしまって徘徊するようになることを指します。

 アルツハイマー病では、これらの症状が徐々に進行します。一方、レビー小体型認知症では、物忘れ症状に加えて、幻視(「そこに子どもたちが来ている」「天井を虫が走っている」)や金縛り(眠っているときに悪い夢を見て体が動かないまま大声を出す)等に加え、パーキンソン病のような症状(動きが遅い、手がふるえる)が現れるようになります。

 疾患の違いをよく認識し、気になる症状があれば脳神経外科等で的確な診断を受け、対応するようにしましょう。

(ニュース和歌山/2020年9月26日更新)