怖さ:3
山の妖怪
出没地域:かつらぎ町

 串柿の里として有名な四郷(しごう)があるかつらぎ町で聞いた話。柿は収穫せずに木に残したままにしておくと、熟れて色が変わり、所々黒ずんで、人の顔のように見えることがある。Aさんが山歩きをしていると、一本の柿の木を見つけた。見ればいくつか実をつけている。ひとつだけ拝借しようと実に手をのばして、ギョッとした。鳥につつかれて傷でも入ったのか、実の表面に黒く濁ったシミができて、それはあたかも顔のようだった。何となく気味が悪く思って手を離した途端、柿の皮がパチンとはじけて、大きな目を見開いた。Aさんは一目散に山を降りたという。

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(ニュース和歌山/2020年11月7日更新)