橋本己容子さん 足使う生活動画配信
脳性小児まひの影響で動かない両手の代わりに、足を使い家事をこなす紀の川市の橋本己容子(きよこ)さん(62)。5年前に利き足の右足を骨折し、思うように動かなくなり、2年前から生活での工夫やリハビリをユーチューブに投稿する。「まひで困っている人の参考になればと始めました。車いすのおばあちゃんだけど、ユーチューバーです」と声を弾ませる。
幼いころから両足を使って生活できるよう訓練を受けてきた橋本さんは、2人の子どもに恵まれ、ミルクやりやオムツの交換、着替え、離乳食作りと、足で器用にこなしてきた。身体に障害はあったものの、手を使えた夫と協力し合っていたが、次男が小学校へ上がる直前に先立たれ、その後は一人で子育てに奮闘した。
転機が訪れたのは5年前。玄関で倒れ、右足首3ヵ所を骨折した。それまでは自力で歩けたが、けがの影響で車いす生活に。親指が開きにくくなり、包丁も使えなくなった。リハビリの一環で始めたのが似顔絵で、右足の親指と人差し指で鉛筆をつかみ、100人を描いた。
動画はこれまで26本を投稿した。高さ約30㌢の自宅キッチンで、卵を割って卵焼きを作ったり、足の爪を切ったり、ちぎり絵を制作したり。橋本さんを担当する貴志川リハビリテーション病院の作業療法士、田治米由佳さんは「指に力を入れることが難しくなりましたが、あきらめずリハビリを続けている。前向きな姿は、他の患者さんの力になっています」と喜んでいる。
動画は「橋本己容子」で。また12月25日㊎午後1時から和歌山市役所で行われる、デイサービス主催のイベントで、得意の似顔絵を先着5人に贈る。詳細ははっぴー&はーとⅢ(073・477・0080)。
写真=リハビリで始めた似顔絵は、右足の親指と人差し指で鉛筆をにぎって描く
(ニュース和歌山/2020年11月28日更新)