《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院 亀井 一郎院長

 いいえ、違います。昔は子どもだけに発症する病気で、大人になってからは起こらないと信じられてきました。しかし近年、60歳を超えてから発症するてんかんも多いことがわかってきました。

 脳卒中や脳腫瘍、脳外傷後に起こるものを「症候性てんかん」といい、一方、特に脳疾患がなく、原因不明で子どもに多い発作を「特発性てんかん」と呼びます。脳の神経は、電気活動によるアクセルとブレーキがバランスよく働くことで思考したり体の動きをコントロールします。ところが、アクセルが過剰になる(電気活動が異常に活発になる)と電気的乱れが生じ、てんかんが起こります。

 てんかんの症状というと、激しいけいれん発作を思い浮かべますが、実は、様々な症状のてんかんがあります。▽全身の筋肉が急に脱力し、崩れるように倒れる(脱力発作)、▽突然動かなくなり、数十秒間にわたり話しかけても反応がない(欠神発作)、▽全身あるいは一部の筋肉が一瞬ピクッとする(ミオクロニー発作)などです。

 車の運転中のてんかんが原因と思われる交通事故が多発する昨今、この病気にも十分留意しましょう。今はいい薬がたくさんあるので、てんかん発作を抑え込むこともできます。

(ニュース和歌山/2020年12月19日更新)