〝マラニック〟ってご存知? マラソンとピクニックを合わせた造語で、順位やタイムを競わず、景色を楽しみ、途中で食事を取りながら、みんなでゴールを目指す。全国的に増えており、県内でも「高野山海南マラニック」が3年前から開かれている。元々、約30年前に海南市立第一中学校(現・海南中学校)駅伝部で1年に1回行われていた〝鬼メニュー〟を当時の部員らが復活させたもので、今年も5月17日(日)に一般参加を募って実施する。
高野山海南マラニック開催のきっかけは2011年、海南一中の陸上部や駅伝部で指導していた川村栄司さん(64)の退職記念パーティーだった。昔の教え子たちに囲まれた際、1980年代に駅伝部のトレーニングとして3〜4年間だけ行われた、印象深い練習方法が話題に上った。川村さんは「高野山から海南まではフルマラソンより少し長い約50㌔。日々のグラウンドを走る練習とは違うトレーニングをと考案しました。保護者の協力を得て実施しましたが、当時はみんな嫌がっていたと思いますよ」。
しかし、体験者の1人、宮本憲治さん(44)は「競争でなく、ピクニックのような感覚でした」と楽しかった思い出として記憶する。ただ、「ほぼ全員が股ずれになり、翌日、足を〝ハ〟の字にして歩く姿を、互いに指さして笑い合いましたね」と懐かしむ。
このトレーニングを復活させようと、2012年に有志6人で第1回を開催。翌年は14人に増え、さらにマラソン愛好家の参加希望が多くなってきたことから、昨年は参加者を公募し、30代〜70代の26人で実施した。
5月17日は午前8時ごろにJR海南駅をバスで出発し、高野山・大門へ。7〜8㌔ごとに休憩をはさみながら走り、午後4〜5時に海南駅でゴールする。サポートカーも同行する。実行委の1人としてランナーを支える宮本さんは「走ることでゆっくり景色を楽しめる。車では見えないものが見えます」とにっこり。
海南一中卒業生で、過去3回走った実行委の池原弘貴さん(45)も「高野山を下ってくる際の眺めは最高。森林浴を楽しみながら走る感じですね」。来年以降も継続したい考えで、逆に海南から高野山まで走り、宿坊に泊まって帰ってくるなど他の案も膨らませる。
「受け入れ体制が整えば、全国のマラソン愛好家に参加してもらえる。息の長いマラニックにし、海南と高野山両方の良いところを知ってもらうきっかけになれば」と描く。
写真=昨年の様子。上はスタート地点の高野山・大門前で。下は道中、カメラに手を振る参加者も
(ニュース和歌山2015年4月11日号掲載)