今年も残りあとわずか。2020年は世界中が未知の感染症におびえ、様々な活動が制限され、不安の多い1年でした。こんな未曾有の状況でも、紙面を通じ希望を届けてくれた方はたくさんいました。そんな皆さんにニュース和歌山大賞を贈ります。
農業賞 西野仁さん〜バナナ栽培 目指せ特産品
10年前に東京から和歌山へ移住した西野さんは、バナナを紀の川市の新たな特産フルーツにしようと挑戦。温暖な気候を生かしコストのかからない露地で、寒さに強い品種、アイスクリームバナナの栽培を試みています。3年目の今年、初めて実をつけ、約50本を収穫しました。来年以降の販売を目指しており、「将来的には、紀の川市のふるさと納税への返礼品に使われるような地元の特産品に」と夢を描いています。
努力賞 永岡杏樹さん〜5歳で英検準2級
7月に行われた日本英語検定協会の実用英語技能検定準2級に、試験当時5歳だった和歌山市の永岡杏樹さんが県内上位3%に入る好成績で合格しました。準2級は高校中級程度で、日常生活に必要な英語を使用できるレベル。1800点満点中、1495点を取りました。現在、来年1月の2級検定に向け、受験勉強真っ最中。「将来は歌って踊れるお医者さんになること」と話しています。
発明賞 山本景一さん新型コロナ 健康観察に一役
県立医科大学の山本景一准教授が京都大学の研究者らと共同開発したアプリ「健康日記」が、新型コロナウイルスに感染した疑いがある人の健康観察に一役買っています。2月には患者の情報を取りまとめる保健所用にと、データ集計分析システムを作りました。和歌山はじめ、全国28都道府県の39保健所が導入し、業務の負担減につながっているほか、全国の企業や学校、病院など700施設で活用されています。
国際賞 木川剛志さん〜生き別れた母娘 映像に
戦後、養子縁組でアメリカに渡ったバーバラ・マウントキャッスルさん。生みの母親の調査を和歌山大学観光学部の木川剛志教授が手伝い、残念ながら亡くなっていた母を知る人たちとの交流や、墓前に花を手向ける様子などを一本の映像にまとめました。その作品は、アメリカの国際映画祭フェスティジャスで最優秀長編ドキュメンタリー映画賞に輝くなど、世界の様々なコンテストで高い評価を受けました。
写真=バーバラさん(左)の母親について丹念に調べ、映像にした木川教授
ほっこり賞 中村千里さん〜折り紙の手裏剣プレゼント
南海和歌山市駅近くの駐輪場前に、手裏剣や刀の折り紙を並べているのは中村千里さん。10年前、くも膜下出血のため両目が見えなくなってしまいました。ある日、娘から折り紙をすすめられ挑戦してみると、元々指先が器用だったからか、スイスイと折り鶴ができました。「楽しくて、たまに来るひ孫と一緒に折っていました」。作品は子どもたちが自由に持ち帰れるよう、駐輪場の前に置いています。
写真=今も毎日作っています
音楽賞 地元アーティスト15人〜感動呼ぶオンライン合奏
新型コロナウイルスの影響で出演機会がなくなった音楽家と芸術家計15人が4月、「外出自粛となった皆さんの心に少しでも光を」と自宅からオンラインでつながり、X JAPANの『Forever Love』を合奏。離れた場所にいながら心を一つにした演奏が話題を呼びました。SNSでは動画公開わずか2日で視聴回数が5万回を超え、作曲したYOSHIKIさんもツイッターで「涙が出て来た。。感動」と投稿しました。
レトロ賞 田中義規さん〜丸正屋上の電車復活へ
2001年に倒産した丸正百貨店の屋上遊園地で走っていたミニ電車「辨慶号」をもう一度走らせようと、修理を進めているのが和歌山市の田中義規さんです。客車部分の改修を今年3月に終え、機関車と運転手が乗る部分を11月末に完成させました。かつては給電式でしたが、今回はシニアカーのモーターを組み込み、自走するように。レールも準備し、来年春のお披露目に向けて試走を重ねています。
写真=車体側面の丸正ロゴが目を引く
環境賞 岸本勇樹さん〜獣害学ぶカードゲーム
山林での有害鳥獣による被害を身近な問題にしてもらいたいと、県林業普及指導員の岸本勇樹さんが、対戦型の教育カードゲーム「人×鹿(ジンロク)」を考案しました。県内30市町村を描いた地図の盤と、鹿に見立てた木のコマなどを使う陣取り合戦式のゲームで、楽しみながら人と鹿の共生について学べるよう工夫しました。1月には熊野高校の出前授業で使われ、現在は県が主体となって改良を加え、学校への配布を目指しています。
写真=ゲームを通して獣害対策の難しさを伝える
エコ賞 貴志真帆さん〜広がれブーメランバッグ
2013年にオーストラリアで始まった、不要な布でエコバッグを作る活動「ブーメランバッグ」に今年1月、日本で初めて参加したのが和歌山市のグラフィックデザイナー、貴志真帆さんです。7月のプラスチック製レジ袋有料化を受け、多くの関心が寄せられ、これまでに550枚を製作しました。活動を応援しようと、いらなくなった古い着物や手ぬぐいの寄付も集まっており、「この活動が地域に根付き、環境問題へ意識が変わる一歩になれば」と願っています。
写真=来年はワークショップを開催予定
(ニュース和歌山/2020年12月26日更新)