統一地方選挙、県議会選挙は4月12日、投開票です。この後、4月19日告示、4月26日投開票で和歌山市、橋本市など8市町の議員選挙が控えています。
号泣兵庫県議による政務活動費問題から地方議会には厳しい目が向けられています。また、今回の選挙では、41都道府県、17政令市議選での総定数2284人に占める無投票当選の割合が過去最高の21・9%にのぼりました。和歌山県議選では14選挙区定数42人のうち7選挙区12議席が無投票で決まりました。
「地方政治は曲がり角に来ている」。北海道大学の吉田徹准教授が雑誌『潮』の最新号で指摘しています。人口減による自治体消滅が懸念され、地方政治が担うべき課題が増える一方で、市町村合併で議席数が減りながら無投票当選が増え、地方議員を目指す人が減少している。「このコントラストは危機的水域に突入した」と言います。
吉田准教授は、北海道栗山町が全国に先駆けて定めた「議会基本条例」を紹介します。この条例は、議会と市民の交流、政策提案の推進、議員間の自由討議を定めています。これにより議員間の切磋琢磨が起こり、議員提案条例が増え、市民は政務活動費の増額を認めました。
この議会基本条例は全国に広がり、県内では、橋本市、美浜町が定めています。美浜町は、NPOなどと意見交換の場を設け、議員の政策能力の強化、提案の拡大を明記しています。
「議会は行政の案件を追認しているだけ」と言うと、議員さんは怒るでしょう。議会にはかるまでに当局と調整に骨を折っているのだと。吉田准教授の論文にもありますが、行政と議会が根回し型で進むと、市民からは何をやっているか分からなくなり、政治離れを生みます。それに地域が抱える固有の困難を敏感にとらえ、議会が主体となって政策立案を進めねば、個性的なまちづくりは進みません。 議員は民の代表として、世の中の風を先頭でとらえ、行政に反映させるのが仕事です。地方がこれほど
追い詰められた時代に、その役割、機能はより積極的に更新されるべきです。その際、議会の輪郭をはっきりさせる議会基本条例制定はスタートラインと言えるでしょう。
「争点は地方創生」と新聞には踊りますが、地方創生は議会改革と並行してこそ、より本物になるのではないでしょうか。各候補、この自覚があるか。そこに一票をかけます。 (髙垣)
(ニュース和歌山2015年4月11日号掲載)