怖さ:2
里の妖怪
出没地域:桃山町
昔、紀の川市桃山町の黒川に、年に一度、村中の人が集まって寺を掃除した後、当番の家で宴会をする「掃除講」との慣わしがあった。ある夜、その宴に見知らぬ美しい女が来て、「仲間に入れてくれ」と言う。「他の村の者は入れぬ」と断るが、「私はこの村の者です」と話すので招き入れた。女は美しい声で歌ったり、踊ったりと場を盛り上げた。それから毎年、女は掃除講に現れた。ある年、女が当番になった。村人が女に着いていくと、そこは立派なお屋敷で、門前に一匹の大きな蛇がいる。驚く村人に、女は「それは私の祖母ですから、大丈夫ですよ」と笑った。村人たちは逃げ帰ったという。
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(ニュース和歌山/2021年1月16日更新)