《回答者》
◆循環器内科
みなかたクリニック
南方 常夫院長
今年1月、国立がん研究センターなどの研究チームから、母親の子宮頸がんが移行した小児肺がんの事例が2組見つかったと報告がありました。経膣分娩の際の羊水誤嚥によるがん細胞の移行ということです。母子のがん細胞の遺伝子を解析したところ、DNA配列の変異などが一致しており、移行したことが実証されました。
日本では13年から、若年女子を対象に、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の無料定期接種を実施しています。しかし現在は、副反応の問題もあり、中止はしないものの積極的な接種推奨は控えられています。
一方、昨年、スウェーデンでワクチン接種と子宮頸がんリスクの関連について167万超のデータを解析したところ、ワクチン接種時期が17歳未満の群では88%、17〜30歳の群では53%の発症リスク低下が認められました。同国ではHPVワクチン接種プログラムの継続が強く支持されています。
日本では毎年1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約3千人が命を失っています。とくに妊娠・出産や子育て、働き盛りの20〜40歳代の患者が増えています。小6〜高1の女性は無料でワクチン接種ができます。なお、接種に関しては主治医とよくご相談ください。
(ニュース和歌山/2021年1月24日更新)