和歌山市の武田真理さん 絵本出版社立ち上げ第1弾
1月 スーッとあなたを押しましょう ワクワク ドキドキするように ほっぺがひんやりするように──。季節が移り変わる様子を豊かに表現したフィンランド人、ハンナ・コノラさんの絵本『風と出会う日々のこと』(日本語版)を和歌山市の出版社、コルバプースティが12月21日に発売した。同社の第1作目で、代表の武田真理さん(写真)は「フィンランドも和歌山も海と森に恵まれており、共感してもらえる点が多い」と声を弾ませる。
全編フィンランドロケの日本映画『かもめ食堂』をきっかけに現地を訪れ、美しいデザインの生地や食器、自然に魅了され、2014年から北欧雑貨を扱うネットショップを営む。18年と19年には県立近代美術館内のカフェで現地在住の日本人デザイナーによる展覧会や、ビンテージ食器、雑貨販売、トークショーなどを主催した。
4年前、アーティスト兼イラストレーターとして活躍するハンナさんが初めて絵本を出版すると聞いた。版元を訪れた際、並べられた絵本を前にし、「物語の多様性や、色の豊かさ、ワークショップを通して読者と交流する文化に触れ、〝出会ってしまった〟と感じました」。
当初は原本を輸入販売するだけだったが、客からの「日本語版を作ってほしい」との声に後押しされ、フィンランドの絵本専門出版社を昨年秋に立ち上げた。
訳を手がけたのは、国内外で高い評価を受けるファッションブランド「ミナ・ペルホネン」のデザイナーで、フィンランドの親善大使を務めた皆川明さん。「この絵本が日本とフィンランドを結び、互いの暮らしの中で愛されることを願っています」と期待を寄せる。
現在は和歌浦で北欧の生活雑貨を集めた店の開設準備を進める武田さん。「フィンランドの冬は長く、家の中に楽しく過ごすアイデアをたくさん持っている。新型コロナウイルスの影響で自粛期間が長引く今、北欧の生活スタイルが参考になるのでは」と話している。
絵本は208×260㍉、24㌻。2200円。HPは「コルバプースティ」。
(ニュース和歌山/2021年1月23日更新)