街のあちこちに飾られたひな人形を見ながら、海南市内を散策してもらう「紀州海南ひなめぐり」。昨年、惜しまれながら10年間の歴史に幕を閉じたこのイベントの流れを引き継ぎ、学生団体「SPREAD!!!!(スプレッド)」が「フォトコレ・ウィズ・ひなめぐり」と題した写真展を2月28日㊐〜3月11日㊍、同市日方のノビノスで開きます。リーダーの中村巴菜(はな)さん(21)と写真展担当の𠮷村寧花(しずか)さん(19)に話を聞きました。(文中敬称略)
人形入りの風景
──まず、「SPREAD!!!!」とは?
中村「毎年8月のふるさと海南まつりを盛り上げるため、2017年に立ち上がった学生団体です。裏方としてステージイベントを企画、運営しながら、出演もしてきました。モットーは〝やりたいことをやろう〟。昨年はふるさと海南まつり以外に新たなイベントをと考えていましたが…」
──新型コロナウイルスですね。
𠮷村「人を集めるイベントの開催が難しい中、自分たちが海南についてもっと知る機会を持とうと、昨年秋、海南市内で遠足を行いました。歩いてみると、城山トンネルがある山の上からの見晴らしが素晴らしかったり、道端の溝に空いた穴が顔のように見えたり、下調べでは分からなかった魅力に出合えました。元々はその遠足で撮った写真の展示を予定していたのですが、その後、紀州海南ひなめぐり実行委員会の方と知り合う機会に恵まれ、お雛様を入れた海南の風景写真を加えることにしました。SPREADは〝広げる〟との意味。異なる世代の皆さんへ交流を広げることができました」
新たな表情
──どんな写真を?
中村「2月14日、ひなめぐり実行委員会の皆さんにお借りした一般的なお雛様のほか、漆器製の紀州雛を持って、海南駅前一番街や黒江、藤白神社、塩津などにおじゃましました。お雛様が様々な場所をめぐっているような写真が撮れ、メンバーは皆、『これぞ〝ひなめぐり〟なんじゃない?』と手応えを感じています」
𠮷村「撮影前、温山荘で展示されているお雛様を見せてもらいました。お雛様って、作られた時代で造りや表情が違うんです。10年も続いたひなめぐり。何回も見に来た人も多いと思いますが、私たちと遠足することで、これまで見ることができなかったお雛様の新たな表情を引き出せたのではないでしょうか」
中村「千体雛が並んでいた昨年までの海南駅で、小さな子と親、おばあちゃんらが『写真撮るよー』と楽しんでいる様子を見ましたし、ひなめぐりを心待ちにしていた人は多いと思います。今回の写真展、海南の方にとってはよく知っている場所かもしれないけれど、当たり前になった風景の中にある魅力に気付いてもらえるとうれしいですね」
写真=紀州雛を手にする後列左が中村さん、右が𠮷村さん。前列はメンバーの澤村歌乃さん(左)と土橋玄季さん(右)
(ニュース和歌山/2021年2月20日更新)