教師 木原達夫さん 絵の魅力 生徒に教わり
中学校の社会科教員、木原達夫さんが「わたくしミュージアム~悠々美術館」と題し、20年以上に渡って集めた和歌山ゆかりの洋画30点あまりを、2月21日から毎週日曜のみ、紀の川市の自宅で公開する。元々、絵画に関心のなかった木原さんが収集を始めたのは、教え子たちが描いた絵がきっかけだった。
日本芸術院賞受賞歴を持つ鍋井克之の「雑賀崎」や「潮岬灯台」、県出身の川口軌外『南紀風景』、中畑艸人(そうじん)『ヴァチカン遠望』…。「思い入れが強いのは、朝井閑右衛門の『薔薇』。思い切って160万円で購入し、テレビ東京の『開運!なんでも鑑定団』で350万円の評価を受けたお気に入りです」
絵の世界へ引き込まれたのは25年ほど前。夏休みの自由研究で、数人の生徒から著名な作品の模写が提出された。「ゴッホの自画像やレオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』など、どれもよく描けており、お願いして作品をもらいました。仕事が忙しく、ゆとりがなかった中で、絵画の魅力を教わりました」。それから3年間、図書館に通い、絵画に関する書籍や図録を読みあさった。その後、画廊回りを始め、県内の風景画や和歌山に縁のある画家の作品にこだわって集めてきた。
作品は教師を引退した後、公開しようと考えていた。しかし、「昨年、新型コロナウイルスの影響で、授業ができない日が3ヵ月続いた。私もいつコロナに倒れるか分からない」。予定を早め、悠々美術館を〝開館〟することにした。「生徒たちに教えてもらったことはたくさんありますが、その一つが土台となりました。これを機会に、彼らと再会できたらうれしいですね」と笑顔を見せる。
(ニュース和歌山/2021年2月20日更新)