少子化15年後見越す〜県教委 11月中に説明会

 県教委は諮問機関「きのくに教育審議会」が8月にまとめた答申について説明と懇談会を11月末まで開く。答申は今後15年間の県立高校再編の方向性を示した内容で、県教委は「少子化がより進み、県立高校のあり方は転換点を迎えている。多くの方の意見をうかがいたい」と呼びかけている。

 県内の中学校卒業生は2019年3月が8607人と、1万8014人を数えた1989年3月の半数を割り込んだ。これが15年後の2034年には5974人まで減ると推定される。現状のままでは教育環境への影響は必至で、県教委は昨年10月、同審議会に「少子化に対応した高校の在り方」などについて諮問。答申がまとめられた。

 答申では、これまで1学年4〜8学級としてきた学級の適正規模を、施設の活用や生徒同士の交流、学校行事の維持などの点から、原則6学級が妥当とした。

 そのうえで地域ごとの学校のあり方を検討し、和歌山市で普通科高校4校、工業、商業、総合学科の拠点校を各1校。それ以外の地域では普通科高校を各市域に1校、工業、商業、農業を学べる学校もしくは学科を紀北、紀南地方に各1校置くとした。県立高校全体としては現在の29校が20校となる再編を見越す。

 加えて、生徒の能力をより発揮できる教育環境を目指し、大学進学状況の改善、アスリートの育成、文化芸術分野の充実を図る。一方で、個に応じた学びの多様化を進め、高等特別支援学校の新設。不登校や発達障害で学びの機会が充分に得られなかった生徒への「学び直し」に特化した学級の高校全日制への設置を提言している。

 県教委は9〜10月にかけ県内5会場で、答申の説明と意見聴取を実施した。12日に開かれた和歌山市の会でも宮﨑泉県教育長、清水博行教育企画監が内容を説明。「再編において和歌山市高との足並みは?」「定時制高校はどうなる?」「私学との連携は?」など様々な質問が出た。

 11月中は県内のグループや団体から要望があれば、説明、懇談会を行う。県教委は、今年末までにタイムスケジュールと具体的な学校名をあげた「再編実施プログラム案」を作成。年明けにはパブリックコメントの形で県民から意見を募り、来春にはプログラム策定に至りたい考えだ。清水教育企画監は「子どもの人口が減ることへのつじつま合わせではなく、生徒たちが夢や希望を持って学べる最適解を探りたい」と話している。

 懇談会の要望は11月6日までにメール(e5001001@pref.wakayama.lg.jp)で。

写真=和歌山市の説明会でも様々な質問が出た

(ニュース和歌山/2020年10月31日更新)