3月7日に開幕した「紀の川フルーツ体験! ぷるぷる博覧会」。毎春、紀の川市の農園や施設、店舗でフルーツの恵みを生かした体験企画を催しており、5回目を迎えました。例年、多くの人を集める人気の企画も生まれ、さらに趣向を凝らしています。今回は主催する紀の川フルーツ・ツーリズム代表理事の児玉敏昭さん(55)にこれまでの手ごたえや今後の展望を聞きました。

 

思い出育んで

──きっかけは。

 「紀の川市が呼びかけた市民ワークショップです。市にはモモ、カキ、ハッサク、キウイ、イチジク、イチゴとフルーツが豊富です。生産高が全国トップクラスのものもあり、1年を通じ何がしか旬を迎えています。このフルーツをもとに何かできないか。体験観光、料理、商品、食育などテーマを分けて議論する中で、ぷる博のアイデアが生まれてきました」

──初回の手ごたえはいかがでしたか?

 「市民手づくりの体験メニューを62立ち上げました。フルーツや野菜を使った期間限定メニューの提供はじめ、ジュースや創作パフェ、和菓子づくり体験、エクササイズから手芸まで実に多彩でした。目指したのはモノの消費ではなく、コトの消費です。売り買いだけでなく、フルーツを通じて町の人と言葉を交わし、思い出を育んでもらう。観光名所を順番に巡る団体旅行のようではなく、人や町の風土、歴史と出合えるものにしたいと考えました。初回は野外イベントもあり、約4000人の方が来てくれたのですよ」

 

ネット通じ臨場感を

──人気の企画もあるそうですね。

 「フルーツのジュレを用いた大福、ジュースづくりなどが人気です。2回目以降は約2000人が来てくれています。体験を受け入れる農園やお土産店の中にはキッチンスタジオや、オンラインの施設を整えた所もあります。観光として人を迎える形が少しずつできてきています」

──期間限定メニューも好評ですね。

 「ネット上で〝バズった〟のが地元寿司店が提供するフルーツ寿司です。フルーツと酢飯はマッチし、軍艦巻の海苔や大葉と合わせ、意外な味が出るんです。魚介類とからませて絶妙なものもあります。海外の人には特に受けましたね。今回は初めて毎日提供してくれています(数に制限あり)」

──今回はコロナ対策に気を使ったのでは?

 「対面で行う体験メニューが30、オンラインが8です。オンラインはただ対面を避ける意味だけでなく、できることの可能性を広げています。例えば、パラグライダー体験では今回、私がカメラ片手に龍門山の高さ300㍍地点から飛び、映像を収めてきました。これを流し臨場感を伝えます。またフルーツの味や香りを伝えるため、材料キットを送ったうえで行うものもあります」

──今後の展開は?

 「これまでは和歌山県内中心にPRしてきましたが、ユーチューブにもチャンネルを設け、全国に向けて発信しています。最終目標は1年中、ぷる博が開かれている形です。それぞれのフルーツの旬に紀の川市に来て、自分だけのルートで巡ってほしい。フルーツを手にしたら、ぷる博を思い出す。フルーツの故郷に紀の川市をしたいですね」

 ※開催は4月11日㊐まで。詳細は「ぷる博」HP

(ニュース和歌山/2021年3月20日更新)