怖さ:0
家の妖怪
出没地域:紀美野町

 昔、ある家の土間から、毎夜のようにザラザラと奇妙な音が聞こえた。家人が恐る恐る様子を見に行くと、音は豆類を入れている籠(かご)から聞こえてくる。よく見ると、籠の中の豆がもこもこと動きながら音を立てている。「さては、ねずみでも入ったか」と思い、籠をひっくり返したが、何も出てこなかった。そこへ家の女主人の婆さんがやってきて、「それは豆の神さんの仕業。我が家が不自由なく暮らせているのも豆の神さんがいるからだ」と諭したという。それから、この家ではその音がしてもそっとしておいたらしい。

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(ニュース和歌山/2021年4月10日更新)