《回答者》
◆脳神経外科
貴志川リハビリテーション病院
亀井 一郎院長
1歳を過ぎると歩き始める乳幼児は本当にかわいく、微笑ましいですね。
このころの乳幼児は、体重に占める頭の重さの比率が大きいため(いわゆる頭でっかち)、しばしばヨチヨチ歩きから後ろへ倒れて、思いきり後頭部を打つことがあります。そばで見ている大人はびっくりし、抱き上げたりしますが、打撲後すぐに泣きだし、嘔吐もなく、顔色もよく、普段通りに食べられるなら心配はいりません。
しかし、泣き出さずに意識が悪くなったり(眠り込む)、顔色が悪くなったり、嘔吐を繰り返したり、熱が出てきたり、けいれんが起こったりしてくると、頭蓋内に出血が起こっている可能性があります(乳幼児の急性硬膜下血腫こうまくかけっしゅ)。急いで脳外科手術のできる病院に搬送する必要があります。命にかかわります。
ただし、乳幼児の硬膜下血腫の場合、すぐに開頭手術をして血腫を取り除けば、何ら後遺症を遺すことなく治ります。
乳幼児は転倒しても受け身の姿勢をとることが全くできませんので、思いきり頭部を打撲することになります。打撲後すぐの症状に注意してあげてください。急いで病院に行くべきかどうかの判断基準になります。
(ニュース和歌山/2021年5月22日更新)